床材の種類と特徴
2022年12月27日
お役立ち情報・コラム
インテリアのイメージや心地よさを左右する床材
リフォームの際に、空間の中でも広い面積を占める床材は、多くの方が悩むアイテムのひとつではないでしょうか。インテリアのイメージを左右する大切な素材であるとともに、素足で歩いたり、直接座ったりと肌が触れることも多く、心地よさにも大きく影響するものですね。
また、素材の選び方によっては、日々のお手入れやメンテナンスのしやすさなども異なります。もちろん、素材や商品によって価格も変わりますので、床材に求めるインテリア性や機能性など、優先順位を明確にして選ぶことが大切です。
取り入れる空間の使い方、暮らし方などに配慮して選ぶ
床材選びの基本は、空間の使い方や暮らし方に合わせて検討することが大切です。
例えば、リビングであればインテリア性や快適さを、キッチンや洗面室なら耐水性やメンテナンス性を、子供室の場合は耐汚性など、取り入れる空間に必要な性能の優先順位を明確にして選択することが大切です。
また、床暖房を設置したり、室内で犬や猫を飼うのであれば、それぞれに適した素材を選ぶ必要もあるでしょう。
住宅に用いられる主な素材の種類は?
一般的な住宅の居室に使われる床材は、木質フローリングやコルク、カーペット、クッションフロア、タイルなどです。各メーカーからは、豊富な商品バリエーションが揃っているので、予算や好みに合わせて選びましょう。
木質フローリング
住宅の床材の主流は木質フローリング。木質フローリングは、大きく無垢材(単層フローリング)と複合(複層)フローリングに分けられますが、一般的な住宅では、複合(複層)フローリングをプランニングするケースが多くみられます。
・無垢材(単層フローリング)
無垢材とは、切り出した天然木の一枚板を加工したもののことです。
樹種によって異なりますが、一般的に、空気を多く含んでいるので保温性や断熱性が高いことが特徴です。また、湿気の多い季節は余分な湿気を吸収し、乾燥しがちな季節は排出する調湿作用もあるので、夏は素足で歩いてもべとつかず、冬は静電気を抑えてくれるのが魅力です。柔らかい樹種であれば弾力性もあるので、足腰への負担は少ないでしょう。
ただし、湿度の変化によって、膨張と収縮を繰り返すので、場合によっては、反りや割れなどが生じることも。最近では、耐久性や寸法安定性を高めるため、特殊な加熱処理を施した商品もみられ、床暖房に適したタイプも揃っています。
・複合(複層)フローリング
複合(複層)フローリングは、合板などの基材の表面に化粧材を張り合わせたものです。用いる化粧材によって、突板タイプと化粧シートタイプに分類されます。
突板タイプは、薄く削った天然木の単板(突板)を用いたもので、張り合わせる天然木は様々ですが、単板の厚い方が溝も深く木目が鮮やかです。突板よりも厚みのある挽き板(ひきいた)を取り入れた商品もみられます。
化粧シートタイプは、樹脂やオレフィン、紙などのシートに、木目や石目、抽象的な柄などを印刷したもの(プリントシート、樹脂化粧シート、特殊加工化粧シートなど)を基材に張り合わせたものです。
品質や仕上がりが均一で、施工性に優れていることなどが特徴です。最近はメーカー独自の技術開発により、突き板のタイプと見分けがつかないくらいの商品も揃っています。
コルク
コルク樫の樹皮を原料とした圧縮成形した木質系の床材で、コルクを粒状にして焼き固めたものです。
タイル状のもの(コルクタイル)、コルクフローリングとした商品もあります。堅牢で耐久性に優れ、吸音性、断熱性も高く、適度な弾力性があるので、足腰への負担も少なく、万一転倒しても衝撃が緩和されるという特徴も。温かみのある素材なので、高齢の方の居室や子供室、寝室などに向いています。
無塗装のもの、ワックスやウレタン塗装仕上げなどもあり、性能はさまざまです。ナチュラル色からダークな色合いまでカラーバリエーションも豊富です。
表面仕上げによっては水に強いタイプもあり、キッチンや洗面室などにも使用できます。床暖房対応商品や防音性能を高めたタイプなどもみられます。
カーペット
カーペットとは、織物または敷物の総称です。
保温性や吸音性も優れた素材で、足触りも柔らかく温かみがあるので、寝室などに向いているでしょう。
ウールカーペットは、天然素材ならではの風合を持ち、保温性や防火性もあり静電気が起きにくい素材です。防カビ・防虫性に優れるのは、ナイロンやアクリルなどの合成繊維です。
また、正方形につくられたタイルカーペットであれば、汚れた部分だけ取り換えることができるので、子供部屋やペットの居場所の床材としてもおすすめです。
タイル材
タイルは、耐久性、耐水性が高く、色やデザインなどが豊富な素材です。
居室では、キッチンやダイニングに用いたり、インナーテラスとしてリビングの一角にタイルを取り入れたり、ペットの居場所の床材としてプランニングされることも。
目地の汚れ、足触りの冷たさや堅さ、滑りやすさなどに注意が必要ですが、大型のタイルを用いて目地を少なくしたり、色目地を用いるなどで汚れを防ぐことも可能です。滑りにくいタイプの素材や床暖房に対応しているものもありますし、施工しやすいリフォーム向けのタイプもみられます。
ビニル系床材
ビニル系の床材にもいくつかの種類があります。リフォームなどで取り入れるケースが多いのがクッションフロアでしょう。
・クッションフロア
CF(シート)と呼ばれることもある、塩化ビニルを用いた長尺(ロールシート状)の床材。耐水性に優れ、汚れも付きにくく落しやすい素材なので、水まわりに多く用いられています。
クッション材が裏打ちされているので適度な弾力性もあり、足腰が疲れにくいのが特徴。価格も手ごろで、施工が比較的簡単なので人気です。
フローリングや大理石、タイルを模したものなどや防カビ加工を施したもの、抗菌や消臭機能を持つタイプもみられます。ただ、熱には弱く、足触りなどに好みが分かれます。
・ビニル床タイル
ビニル床タイルは、塩化ビニル樹脂などを用いて、タイル状に加工した床材。比較的堅く、耐久性や耐磨耗性、耐薬品性に優れているので洗面室やトイレなどにも適しています。
色や柄のバリエーションも豊富なので、個性的な空間づくりが可能でしょう。
畳
畳は、昔からある馴染みのある床材ですが、畳床が天然素材の稲わらを用いた本畳のほかに、畳床に天然木質繊維やポリスチレンフォーム板を用いたものなどもあります。最近では、畳表に和紙、麻や草木を用いた商品などもあります。カラーバリエーションも揃っているので、さまざまな使い方ができるでしょう。
また、畳縁のないタイプや正方形のタイプ、移動が可能な置畳や箱畳のような商品もみられ、モダンな空間にもコーディネートすることが可能です。
天然素材 竹・籐・サイザル麻・ココヤシ
竹、籐、サイザル麻やココヤシなど天然素材を用いた床材もあります。竹の繊維を組み合わせ、圧縮成形した床材が竹フローリング。強度があり、傷がつきにくく、収縮膨張も少ないことも特徴です。竹は成長が早いので、環境にもやさしい素材ですね。
籐は、ロール状のタイプだけでなく、30~40センチ程度のタイル状になったタイプも。温泉などの脱衣室に用いられているケースもありますが、住宅でも洗面室やモダンな和空間などで用いられます。
サイザル麻やココヤシなどの天然繊維を織りあげたものは、ざっくりとした独特の風合いが魅力です。
サイザル麻は、耐久性や断熱性、調湿性などに優れ、汚れや水に強い素材。ココヤシの繊維は、丈夫で水に強く、腐りにくく、カビも生えにくのが特徴です。湿気の多いサニタリーなど、水まわりに向いているでしょう。商品としては、タイル状となっており、色味や繊維の織り方によって、さまざまなタイプがあります。
いずれの床材を選ぶ場合でも広い面積に取り入れる素材なので、できる限り大きなサンプルで、色や柄、素材感や風合いなどの確認しましょう。
できれば、サンプルは床に置いてチェックすると良いですね。用いた時と同じ状態とすることで、光の具合による色味の違いや風合いなどを理解することができます。
無垢と複合フローリングの素材感の違いなどは、サンプルをいくつか並べて比較しましょう。可能なら実際に手を触れたり、実際に歩くなどして、検討すること。空間コーディネートに配慮して、壁材や天井材と一緒に検討することも大切なポイントです。
この記事の筆者
住まいる工務店
「住まいる工務店」は、業界歴15年、住宅リフォーム工事を中心とした各種内外装リフォーム全般(塗装工事/外壁工事/屋根工事/水廻り改修/室内リフォーム/設備機器交換/エクステリア/不用品処分/他)を行っております。親切丁寧をモットーに、小さな修理から大規模な改修まで、住まいに関するお悩みに寄り添います。快適な暮らしを支える住環境のパートナーとして、末長くお付き合いさせていただけたらと思います。従業員一同、感謝の気持ちを胸に、日々の業務に取り組んでいます。
保有資格:1級建築施工管理技士/1級塗装技能士/リフォームスタイリスト/雨漏れ診断士