トタン屋根の種類と特徴
2023年07月20日
お役立ち情報・コラム
屋根材の一つである「トタン屋根」は、古くから住宅や工場、倉庫などに使用されています。
高度経済成長期の頃は住宅でも一般的に使用されていましたが、どのような特徴があるのか知らないという方も多いのではないでしょうか。
その一方で、現在もまだまだトタン屋根が使用されている地域も見かけます。
そこで今回は、トタン屋根の種類や特徴、メンテナンス方法などを解説します。
トタン屋根の種類
金属屋根の一種であるトタン屋根は、軽量で耐震性に優れており、さまざまな種類があります。
こちらでは、トタン屋根の種類について解説します。
瓦棒葺きトタン屋根
瓦棒葺き(かわらぼうぶき)トタン屋根は、金属屋根の縦葺き工法で頂上(棟)部分から軒先に向って縦方向にトタン板を設置していき、心木と呼ばれる木材を45cm程度の間隔に設置します。
棟に対して屋根材が直角になります。
縦平葺き
縦平葺き(たてひらぶき)は木製の桟(さん)を使わず、縦に板金を葺いてできた屋根です。
屋根材の端が逆V字型に折り曲げられています。
波板トタン屋根
波板トタン屋根はトタンを波状に加工した屋根材を使う方法です。
波状にすることで強度を保ち、勾配がない屋根にも使用可能です。さまざまな形状やサイズがあります。
折板トタン屋根
折り曲げて台形状に加工された屋根材を使う方法です。
工場や倉庫、カーポート、自転車置き場、体育館などで使用されています。
トタン屋根の特徴
正式名称は亜鉛めっき鋼板葺きで、ポルトガル語が語源です。日本では、戦後の高度経済成長期に多くの家で使用されていました。
現在でも北海道や東北の豪雪エリアで、雪下ろしの手間が省けるなどの理由から広く使われています。
他の屋根材に比べ軽量であることが特徴で、日本瓦と比べると1/100の重量です。波板にすることにより、薄い材料でも強度を高めることができます。
また、瓦屋根に比べて安価で倉庫や工場などでも使用されています。
トタン屋根のメンテナンス方法
トタン屋根は定期的なメンテナンスが必要です。
経年劣化による古い塗料の剥がれやサビの発生、また、塗装面の色あせや粉っぽさなどの症状があれば、修理を行うタイミングです。ここでは、メンテナンス方法について解説します。
ケレン
下地処理のひとつで、ワイヤーブラシやサンドペーパーを用いて古い塗膜やサビを除去していきます。
また、塗料の密着力を高めるため、塗膜の目荒らしを行います。塗装が剥がれた部分やサビを放置していると、塗装を施しても塗料が定着しなかったり、サビが広がる可能性もあります。
ケレンによる下地処理は仕上がりに大きく影響する重要な工程です。塗料の密着度が高いほど塗装が長持ちします。
高圧洗浄機で洗い流す
汚れがついたままだと塗料が密着しません。
ケレンで除去した古い塗膜やサビ、ホコリ、カビなどを洗い流します。
釘が浮いている部分やひび割れなどは、塗装する前に修復して下地処理を施します。
下塗り
サビの発生を防ぐため、サビ止め効果のある下塗り材を塗布します。
また、下塗りで使用する下塗り材には上塗りする塗料との密着性を高める効果もあります。
中塗り・上塗り
下塗りの上から、中塗り・上塗り(場合によっては上塗りのみ)の2回に分けて、ローラーや刷毛で塗り重ねていきます。細かい部分はハケを使用します。
塗料はによって費用や耐久性は変わります。中塗り・上塗りの後は乾燥させて完成です。
トタン屋根の劣化で一部に穴が開いている場合は、部分的に交換することを検討しましょう。
トタン屋根のメリット・デメリット
どの屋根材にもメリットとデメリットがあります。住宅の状況や周りの環境なども考慮しつつ、適切な屋根材を使用しましょう。
以下では、トタン屋根にのメリット・デメリットについて解説します。
トタン屋根のメリット
●軽量
トタン屋根は他の屋根材に比べ軽量なことがメリットです。
屋根が重たいと雪が積もった際に建物が倒壊する危険性が高まります。トタン屋根は日本瓦と比べ、1/100の重量、スレート屋根の1/4で、積雪に強いといった特徴があります。
●耐震性が高い
屋根が軽ければ軽いほど重心が下がり、地震が発生しても揺れが少ないです。
●施工費用が安い
屋根材ごとの費用相場は、ガルバリウム鋼板では5,000~8,000円、瓦では8,000~15,000円程度ですが、トタン屋根は4,500円前後となっており、施工費用を安く抑えることができます。
また、他の屋根材に比べると、施工が簡単で短時間で工事が済むことも安い理由となっています。
※金額についてはあくまで相場になります。正確な費用に関しましては現場調査をおすすめいたします。
●雨漏りしにくい
トタン屋根は継ぎ目が少ないため低勾配の屋根でも雨水の浸入が少なく、雨漏りがしにくいことも大きなメリットです。
トタン屋根のデメリット
×サビやすい
鉄板なのでサビが発生しやすい特徴あります。サビの原因は塗膜の劣化や剥がれです。長時間放置するとトタンに穴があき雨漏りの原因にもなります。
トタン屋根の塗料の耐用年数は、一般的に7〜10年なっており、この期間に塗装を行うのが望ましいです。
×塗膜の劣化で色あせが生じる
経年劣化により塗膜が色あせて見た目が悪くなります。特に紫外線は塗膜の劣化要因で、放置するとサビの原因になるので注意が必要です。
×防音性・断熱性が低い
トタン屋根は音を通しやすい素材で防音性が低く、雨が降ったり車が通過するとうるさく感じることがあります。
しかし、遮音性のある塗料を塗ることで雨音を軽減することが可能です。また、金属板なので外部から熱が伝わりやすく断熱性が低くなっています。
夏は室温が上がりやすく、冷房が効きにくいと感じるでしょう。冬は暖房をつけても暖かい空気が屋根から抜けてしまうため、空調の効果が落ちる可能性があります。
×強風・台風で飛ばされる
トタン屋根は薄く軽量でつなぎ目から剥がれやすく、強風・台風の影響で吹き飛ぶ可能性があります。特に古いトタン屋根には注意しましょう。
まとめ
今回は、トタン屋根の種類や特徴、メンテナンス方法などを解説しました。トタン屋根は他の屋根材に比べて軽量で耐震性に優れています。施工費用を安く抑えることができ、短時間で工事が済むのも大きなメリットです。しかし、サビやすく、防音性・断熱性が低いなどのデメリットもあります。
この記事の筆者
住まいる工務店
「住まいる工務店」は、業界歴15年、住宅リフォーム工事を中心とした各種内外装リフォーム全般(塗装工事/外壁工事/屋根工事/水廻り改修/室内リフォーム/設備機器交換/エクステリア/不用品処分/他)を行っております。親切丁寧をモットーに、小さな修理から大規模な改修まで、住まいに関するお悩みに寄り添います。快適な暮らしを支える住環境のパートナーとして、末長くお付き合いさせていただけたらと思います。従業員一同、感謝の気持ちを胸に、日々の業務に取り組んでいます。
保有資格:1級建築施工管理技士/1級塗装技能士/リフォームスタイリスト/雨漏れ診断士